迫害?堕落?

 ミーティングの後に、課長に呼び止められた。
「山田クン、いつだったかクリスマスの時に誘ってくれたキミが行ってる教会、ホーリネス..とか言ってたよね。」

「ハイ、そうですけど・・・」

「何だか今、色々と問題になってるらしいねぇ」

「えっ、問題って・・何がですか??」

「ほら、最近雑誌で騒がれてるセクハラ事件だよ」

「いやだな課長、ボクが通ってる教会はカルトなんかじゃありませんよ」

「そうかぁ、確かホーリネスって書いてあったような気がしたけど…」


 そしたら案の定、休み時間に同僚からこの問題を突っ込まれた。

 「えっ!?おまえクリスチャンなのに知らなかったの?? 教会って、不二家や雪印みたいな隠蔽体質なのか??」

 会社の帰り、仕事に疲れてパカ〜と口を空けながら電車に乗っていたら、いきなり目に飛び込んで来た週刊アエラのつり革広告、『神よ怒れ!キリスト教会の「性犯罪」』!!!

 「あぃやっやぁ〜これかよ…」と思って近づいてよく見てみたら、『牧師が教会内で女子にわいせつ行為 日本基督教団 日本聖公会 ホーリネス教団 わいせつを「救済」と説明』 と、書いてあるではないか!? 「そ、そんなぁ…ウチの教会でそんな話一度だって聞いたことないのに…本当かぁ??」


 「本当かぁ??」たって本当なのだから仕方がない。教会で全く知らされることなく、健全な視点で問題視され、課題として情報が届けられることもなく、突然ノンクリスチャンからゴシップ記事という形で、事実が突きつけられた。何とも情けない話ではないか。

 このような事件が起きた場合、それが訴訟に至らない限り、一般社会や他教会にその情報が伝わることはほとんどない。それは、被害者や他の信徒たちの躓きになることがないようにとの配慮であり、おそらく多くのクリスチャン・メディアもそういった配慮の故に、状況を静観していたのだと好意的に信じたい。(アタシはホーリネスの出身なので、K牧師が教団から除名されたことだけは知っていた)

 だが今回の場合、この報道に蓋をする、またはただ客観的に静観することは、一層キリスト教会が社会からの信頼を失うことになるだろう。一般的観点からすれば、有罪確定という判決が出ている限り、社会に対して言い訳は通用しない。とにかく、今回の事件は、今までのセクハラ事件にはない、いくつかの課題を我々に投じている。

1) 今回の事件は、聖神中央教会や、摂理のようなカルトではなく、日本では正統派と言われているプロテスタント教会内で起きたこと。

2) 今回の訴訟はいずれも、教会・教団・周囲の信徒が加害者牧師を擁護したことによって、発展したこと。

3) 有罪判決を、牧師たちが無効としていることで、一般社会が教会に対して大きな不信感を抱いていること。(ホーリネス教団は謝罪文書を発表している)

4)多くのクリスチャンが、今回の事件をマスコミを通じて初めて知ったこと。

5) 実態が分からないだけに、ノンクリスチャンからこの問題についてに尋ねられたクリスチャンが、答えに困窮していること。

 報道内容に明らかな誤解や中傷があれば別だが、今回の場合は、興味本位のスキャンダル記事扱いではないので、報道自体を非難することは間違っている。また、今回の事件を、ごく一部の特種な事件として、「うちの教団だけは、うちの教会だけは、うちの牧師だけは」と片付けるのは楽天的過ぎよう。

 また、クリスチャンが被害者の女性に対して「赦すべき」「裁くなかれ」などのメッセージを送ることも的が外れている。こういった訴訟の場合、被害者の女性は被害を立証するために、自ら受けた恥辱を公の場で証言しなければならず、そういった精神的苦痛は想像に余りある。被害者としての彼女たちの立場を考えれば当然のことである。

 一方、もし日本基督教団と、聖公会の主張が本当だとすると、彼女たちは性格破綻者ということになるので、そういった話しが通用するぐらいなら、最初からこのような問題には発展してないだろう。無論、この裁判が正当だったのなら、日本基督教団と聖公会は、即刻解散すべきである。(それで責任が取れるのなら)

 何だかんだと言いつつも、どうしてもアタシは男性側、牧師側の視点で物事を見てしまう傾向がある。だが、キリストはいつも、弱い女性の立場に立っておられた。愛欲の世界で深く傷ついていたサマリヤの女の心を見抜き、社会的弱者だったやもめたちの心に寄り添い、優しく娼婦たちの心に共感した。我々は、こういったキリストの姿を思い浮かべるべきである。

 聖書には、コリントの教会には性的な問題が多発し、そのことで教会が困窮している状況が記されている。こういった問題は、何も今に始まったことではないのだ。パウロはその問題に対し、教会内部からの刷新を求めている。通常、火のないところに煙は立たない。残念ながら、こうした事件が起こる背後にはコリントの教会と同様、その要因や温床となるものが、教会にあったと考えた方が自然ではなかろうか。

 ともかく、我々はこの問題に対して、成すべきことを成す責任がある。教会の責任、教会の指針、教会の今後の対応といった観点と共に、被害者女性とその家族に対する視点を無視していては、問題の本質を見誤ってしまうだろう。受け入れがたい事実であったとしても、まず我々クリスチャンが善処しないことには、この問題が解決に向かうことは決してないのである。


■週刊 『AERA アエラ』(2008年4月14日号/朝日新聞出版) 

神よ怒れ・キリスト教会の「性犯罪」
牧師が教会内で女子にわいせつ行為
日本基督教団、日本聖公会、ホーリネス教団
確定判決にもかかわらず賠償金を 3年間払い渋る
わいせつを「救済」と説明
被害女性は自殺も

わいせつ行為を「救済」と説明。これはカルト教団の話ではない。信者が司祭から虐待を受けた。被害者の心の傷は根深い。『神』はどう判断するのか。


 以上は、週刊『AERA』4月14日号に特集されている記事のコピー。おもな内容は、以下の3つの教会で起きた性犯罪事件について記されている。

◆ 日本聖公会高田基督教会
◆ 日本ホーリネス教団平塚教会
◆ 日本基督教団熊本白川教会
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