朝鮮の挑戦

 横田さんファミリーとブッシュ大統領との面談は、久方の良いニュースであった。世間はいろんなことを言うが、「思いがけない事が起こりありがたかった」と、早紀江さんご本人がそう言っておられるのだから、何よりである。一方、肝心の日本政府に対しては、「小泉首相も、目に見える形で動いてほしい」と不満を訴えられている。当然である。

「あのさ、実は前にラチった日本人なんだけどさ、8人共死んじゃったみたいよ」
小泉 「え“ッ!!! だってさっきまで何が拉致だ!?行方不明だろ!って言ってたじゃん?!」
「(無視)何だか病気だか災害だかで死んじゃったらしいんだよねぇ〜」
小泉 「(心の中で)このぉ〜!人をさらっといて死んじゃったとは何事ダ!カブト虫じゃねーんだ!」
「ボク、こんなに正直に言ってんだからさ〜仲良くしとこうよ!ホレ、ここサインね」(と契約書を出す)
小泉 「ほ、他の日本人は生きてんの? ちゃんと会わせてくれなきゃボク日本で何を言われるか…」
「そんなこと言ったってさ、本人にその気がないんだから仕方ないじゃん」
小泉 「……じゃさ、テポドンの核疑惑はちゃんと調べさせてくれんの?」
「そうそう、日本の天ドンって美味しいのよね〜!アッ!ボクって最近めっきり日本びいき?」
小泉 (心の中で)「ザ、ざ〜とらしくトボケやがって!」
(心の中で)「フッ、おめーらが戦争中にやったことに比べりゃチョロイもんじゃん」

 これは平壌会談での模様を、多少デフォルメして再現したものだが、ヤクザと女(失礼)にはスジが通らないということは以前にもお話しした通りである。もともと北朝鮮が人質と核爆弾を盾にとり、日本からの金欲しさとアメリカへの牽制から始めた会議なので、始めっからスジだのツクネなどという問題ではない。早い話が、拉致された人達はヤクザにさらわれ、優柔不断な警官に見殺しにされたようなものである。

 「核武装化を企み、海外侵略に疾走する日本首相小泉(のヤロー)」という今までの看板を、「日本国の小泉首相」と張り替えて、暖か〜く日本の首相を迎えた北朝鮮。日本もそれに対し「誠実ある対応」と評価し、今までの国家テロ行為は断罪せず、首相は日朝平壌宣言に署名した。ちなみに宣言書には、「拉致」などという言葉は一切使われていない。こういったワケの分からない示談というのも珍しい。

 マスコミは「何故賠償金を求めない!?」とか「被害者がいつどうやって死んだのか、明らかにされなければ新たな日朝関係など築くことはできない」などともっともらしいことを言っているが、ヤクザに絡まれたサラリーマン政府に、そんなことを追求出来る道理がない。第一、今まで散々シラを切った挙句に出てきた最悪の結末に怒りも言及もせず、死亡した日付けと死に方を聞いて日本はいったいどうするつもりなのダ?? 

 一番アホなのは政府の広報部である。外務省は、「金総書記が過去の非を認め、率直に話している印象を受けた」などと感慨深げにコメントしているが、ヒトサライがヒトサライしていたことを認めて何で誉めにゃならんの?? 更に「被害者死亡を知った首相は会談が開かれた同日昼、ショックのためか、昼食用に日本から持参した弁当に手をつけなかった」…こんなことをわざわざ伝える政府広報部のメメシサには心底呆れる。「弁当ぐらいちゃんと食っていいから、ちゃんと交渉せィ!」と言いたい。

 「こいつら、人の命をカブト虫程度にしか考えとらんがな..」というのがアタシの率直な印象である。捕まえたのはいいけどカゴが狭かったんで死んじゃった的な北朝鮮は言うに及ばず、20年以上も打つべき対策を拱いていた日本にも重大な責任がある。(韓国からは500人近い人々が拉致されているが、数年前の南北首脳会議の際も、この問題はなおざりにされたままであった)

 事実は一つでも、そこに立場の違う人が10人係われば、その事実の捉え方は10通り発生する。加えてそこに利害関係が絡めば当然問題はややこしくなる。人間が自己中心的な存在である以上、国と国、人と人、世の中に争い事は絶えることはない。しかし、世の中にある様々なトラブルを、公平に審査できる方法がだた一つだけある。それは、「アンタがアタシの立場だったらどーすんだ?」という黄金律である。

 とにかく世間の人々(アタシを含め)、は実に勝手なことを言う。しかし、もし拉致された18歳の女の子が自分の娘だったとしても、やはり首相は同じ態度を取ったのか? また、アンタが首相の立場だったらどうするのか? じゃ、イエス様だったらどうされるのだろう?要はそう言うことである。

 拉致という卑劣なテロ行為が明らかになり、しかも相手はそれを全く悪いと思ってないのだから、それなりの強行な対応は見せるべきだろう。(イエス様だって卓袱台(神殿の商品棚)をひっくり返したではないか!)いくら金正日でも、少なくともアメリカがいる以上、いきなり日本にテポドンを打ちこむようなことは出来ないのだから、多少のツッパリは見せるべきではないかと思うのはアタシだけ??

 話はいきなり飛んで大航海時代、アジアの国々はヨーロッパの強国に次々と侵略されていった。連中が占領した国々で行った北朝鮮に勝るとも劣らない非人道的行為は、実にサタンの行為そのもので、聞いただけで気分が悪くなるほどの実に惨憺たるものであった。

 そのような時代の中で、何故日本だけが列強国の支配下に下らなかったのか? 貿易と称し日本侵略を企んで入国していたスペイン調査団が、本国の侵略軍のボスに書き送ったという日本に関する調書を一度読んだことがある。

 それによると「日本人には大きく分けて、自分の利益のためなら何でも取り引きのネタにする"商人"という人種と、何よりもプライドを重視し、自分達の規格に合わないことは、死と引き換えてもスジを通そうとする"武士"という人種の二種類がいる。日本の武力を保有するのは武士であり、彼等を侵略するのは相当困難であると思われる」といった内容であった。

 ところが今や、「オメーは黙って金だけ出しときゃいいんだよ」と日本が世界からなめられ続けているのは、この辺りの凛とした精神性が、時代を経て見事にズッコケてしまったことに原因があると、アタシは確信している。

 いずれにせよ、国民がバタバタと餓え死にしようとも、核ミサイルをつくり続ける独裁国家の延命に手を貸すような愚行は、決してすべきではない。北朝鮮への経済援助が、あの国で餓え苦しんでいる人々を助けることにはならないことぐらい素人でも推測出来る。

 しかし、またしても日本は北朝鮮にお金を払わされることになるだろう。その金権主義故に逆に莫大な代償を払い、それからまた、金を求めて翻弄するという悪循環を、日本はいったい何時まで続ける気なのか? 悪代官と共謀している越後屋は、絶対最後には斬り捨てられるに決っているのに…。
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