肉体労働のススメ

 牧師になる前、アタシはキツイ、キタナイ、キケンが三拍子揃った“3K業界”に属していた。(今も大差はないけど・・)ビデオ制作と聞くと、何となく業界っぽいが、実際の仕事内容から言えば、ビデオ業界は限りなく土方業に近い。

 最近のビデオカメラは随分小さく軽くなったものの、放送用ともなると、バッテリーなどの周辺機器を加えると、ほぼ20パウンドの米袋程の重さになる。あの米袋を担いで、カンカン照りの砂浜を、1日中歩き回ることを想像していただきたい。大概1時間もしないうちに、折角の水着のオネーサン達もトドに見えてくるから不思議である。

 編集作業に入れば昼夜の区別なく、仕事も後半になると目は空ろ、脳ミソは1週間冷蔵庫に入れっぱなしのウニ状態になってくる。とにかく、風にも負けず、テープも巻けず、冬にも砂場の暑さにも負けぬ丈夫な身体でないと、勤まらないのがビデオ業界というところなのである。 

 そんなワケで、体力には割りと自信があったのだが、そのセルフイメージを再認識せねばならぬ事件が最近勃発した。アタシが敬愛する人生の大先輩であるY兄がアフリカに宣教に出掛けるというので、その間約1ヶ月、仕事の留守を頼まれたのである。

 Y兄の仕事はプールクリーナー。その道40年のベテランである。彼の周辺は多忙で地道な仕事人ばかりなので、そうでもない雰囲気を一人でカモシ出していたアタシにその依頼が回ってきたのは、かなり自然の成り行きであった。

 どうも人からものを頼まれると素直にイヤとは言えない性格で、しかも相手は日頃から尊敬している相手だし、そうでなくても何でも首を突っ込みたがるアタシにとって、Y兄からの依頼を断る理由はなかった。彼の仕事場はサウス・オブ・ベンチュラという、超カネ持ち地域で、ボブ・ホープだの、マイケル・ジャクソンだの、ゲートからは家屋が見えない超豪邸がズラ〜っと並んでいる。

 先月この地域に立ち寄ったことのある方で、溥儀メガネ(●●)にGタンパン姿で、バケツとアミを持ったアヤシイ東洋人を見かけた人がいたら、それは間違いなくアタシであった。

 決して安請け合いをしたつもりはなかったのだが、たかがプール掃除、されどプール掃除である。朝の4時から多い時で1日17軒。馴れない作業と、本業との兼ね合いがたたり、情けないことに2週間目でオーバーヒートしてしまった。それでも身体を引きずるように、時間延長で何とか任期終了。僅か1ヶ月のことではあったが、この間お金には代えられないことを色々と学ばせていただいた。  

 1つは、やはり人生はお金ではないということである。アメリカほど明確にお金がステイタスの基準となっている国はない。豪邸に住む彼等はこの世の成功者なのだが、面白いことにプールも70軒近く見ていると、その家の内情が何となく分かったような気になるから、これまた不思議である。

 アメリカの医者や弁護士達の平均寿命は58歳。太く短く生きるというのは、肉体労働者ではなく、実は精神労働者のことなのだ。彼等の多くは孤独であるか、そういったことを考える暇もないくらい忙しいかのどちらか。アタシは1ヶ月以上も庭の片隅に転がったままのオモチャを見ながらそんなことを考えていた。

 もう1つは、身体を使った労働の大切さである。ハッキリ言えば、直接生産者や、労働に従事する者は、支配階級の搾取の対象となる。つまり、儲けるのは暗い内から漁へ出て魚を捕る漁師ではなく、間に入って値を付ける中間業者なのである。

 先進国では、子供達ですら身体を使って働くことを軽く考えている。職業難が続く現代においても、まさか自分が肉体労働に従事しようなどとは誰も思ってはいないだろう。  

 前に「金持ち父さん・貧乏父さん」という本が巷を賑わせていたが、個人の収入は、その人の気質と密接に関係しているというくだりは、ナ〜ルと思わされたものの、知識やテクニックだけで世の中を渡ろうとしても、最終的には無理が出てくるのではないだろうか。

 彼等とアタシは雇い主と使用人(ストレ−トな表現!)の関係であったが、建前だったにせよ、アタシに対する彼等の態度は丁重であった。それはY兄の日頃の実直な仕事ぶりが、臨時ヘルパーにも反映されていたのだろう。当たり前の話だが、どんな仕事でも最終的には人間関係に行き着くのである。  

 資本主義の構造上、肉体労働より、精神労働が社会的評価の高いのは当然である。だが、生産を支え、人間の生命を保障出来得るのは、最終的に人間の肉体が担う労働のみである。地震にせよ、ツナミにせよ、テロにせよ、今の自分の環境が一瞬にして廃墟と化す可能性は、明日は我が身の世界である。

 そんな緊急時に、是が非でも水や食料を調達して来る器量と体力がなければ、男は使い物にならんという意識がアタシの根底にある。そのためにも男たる者、一度くらいは肉体労働に従事すべきである。かく言うアタシも僅か2週間でオーバーヒートしてからというもの、めっきり心を入れ替え、生産的な営みに従事すべく、日々精進に励む…つもりなのである。

 そうそう、ここまで書いて思い出したが、「労働が世界を救う!」と、宣伝して歩いていた政治家がいた。それは小泉純一郎・・ではなく、誰あろうアドルフ・ヒトラーである。「労働こそ最も重視されるべき国家の基盤である」と、ヒトラーは"我が闘争"の中に記していたが、支配階級のプロパガンダと、取り合えず実体験を基にしたアタシの主旨とは全然違うのであしからず。あ"〜〜それにしても腰が痛い。
 
無題ドキュメント
Celebration
 礼拝メッセージ
  礼拝記録

Church Info
 教会日誌
 教会案内
 スケジュール
 Good News Ministry
 Good News仙台
 御声を聞く部屋
 イベント
 Map
 ギャラリー
 GNS徒然日記

Resource
 聖書通読カレンダー
 Good News Network
 行け!重箱の隅突き隊
 クリスチャン人名録
人生を導く五つの目的

Bible Study
 聖書塾
 ローマ信徒への手紙
 使徒言行録
 人生の山頂を目指して!


無題ドキュメント




Google
 
Web Good News Station
Goodnewsstation.comに掲載されているすべてのコンテンツ(記事、画像、動画、音声データ)をGoodnewsstation.comの承諾なしに無断転載する事を禁じます。
(C)2008 Goodnewsstation.com Website design by Joe Suzuki